水野 秀信 <Mizuno, Hidenobu>
現 熊本大学国際先端医学研究機構(IRCMS) 特任准教授
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経 歴
神奈川県生まれ、愛知県育ち。私立東海高等学校(愛知県)卒業。
名古屋大学理学部生命理学科:(2000年-2004年)
名古屋大は自宅のすぐ裏という絶好の環境であった。同時に興味のあった弓道部へ入部。昼間は授業、夜は弓道という生活を4年間過ごす。学部3年から、藤澤肇教授の研究室に通う。この時、複雑かつ正確な神経回路が発達期にどのように形成され、形成後どのように可塑的に変化するのかに興味を抱く。藤澤肇教授・須藤文和助教(現国立精神・神経医療研究センター室長)にご指導頂き,「海馬歯状回顆粒細胞軸索のCA野への層特異的投射パターン形成における、セマフォリン-プレキシンシグナルの役割」を学んだ(Suto et al., Neuron 2007に貢献)。卒業研究を進める間も、弓道部で大将として責任を果たす。明治神宮で行われた全国大会にも出場。弓道で得た集中力は今も役立っている。
京都大学大学院理学研究科 生物物理学専攻:修士・博士課程、学術振興会特別研究員PD(2004年-2009年)
藤澤教授のご退官もあり、外部の研究室を探す中で、神経生理学と神経発生学の両者の研究を行っている京都大学理学研究科の平野教授の研究室に興味を持ち、大学院生として入学した。平野研究室では神経発生・形態学と神経生理学を学んだ。平野教授には研究の知識のみならず、研究を進める上での計画の重要性、特に締め切りを意識し前もって準備を怠らないようにすることの重要性を叩き込まれた。田川助教(現講師)には、直接研究の指導を受けただけではなく、研究自体への興味を育てていただいた。
大学院では、左右の大脳皮質をつなぐ脳梁線維の形成過程における神経活動の役割の研究に取り組んだ。研究室の先生・先輩・後輩の助けと幸運に支えられ、脳梁線維の形成初期に神経活動が関与することを明らかにすることができた(J. Neurosci. 2007; Rev, Neurosci. 2008; Eur. J. Neurosci. 2009)。一般的に神経活動は神経回路形成の後期(形成後の再構成と維持)に関わると考えられていたため、神経回路形成メカニズムの未知部分の大きさに衝撃を受けると共に、より興味が増す。学術振興会の特別研究員時代、以前より論文を読み、研究内容に興味を持っていた岩里教授が助教を公募していることを知り、応募する。
国立遺伝学研究所 形質遺伝研究部門 助教 (2009年ー2018年)
岩里研究室では、大脳皮質体性感覚野の神経回路メカニズム形成を、二光子顕微鏡イメージングにより研究している。これまでに、脳神経細胞を明るくまばらに標識する方法(Supernova法)と、新生仔脳深部の二光子観察法を新しく開発した。これらを用いる事で、新生仔において、体性感覚野第4層の神経細胞樹状突起が活発に伸縮しながら正しい神経回路を形成する事を示した。さらに、神経回路形成・学習・記憶等に関わるNMDA型グルタミン酸受容体により、樹状突起が安定することが、正確な回路形成に必要であることを示した(Neuron 2014)。
現在は、岩里研で開発した新生仔イメージングに、平野研で学んだ生理学的なアイデア(カルシウムイメージングなど)を取り入れている。これらにより新生仔期の神経活動依存的な神経回路形成メカニズムに迫りたい。
研究業績
(原著論文、英文総説)
Mizuno H, Ikezoe K, Nakazawa S, Sato T, Kitamura K, Iwasato T.
Patchwork-Type Spontaneous Activity in Neonatal Barrel Cortex Layer 4 Transmitted via Thalamocortical Projections.
Cell Rep. 22, 123-135, 2018
Luo W, Mizuno H, Iwata R, Nakazawa S, Yasuda K, Itohara S, Iwasato T.
Supernova: A Versatile Vector System for Single-Cell Labeling and Gene Function Studies in vivo.
Sci Rep. 6, 35747, 2016
Iwata R, Matsukawa H, Yasuda K, Mizuno H, Itohara S, Iwasato T.
Developmental RacGAP α2-Chimaerin Signaling Is a Determinant of the Morphological Features of Dendritic Spines in Adulthood.
J Neurosci. 35,13728-13744, 2015
Sakura Mita, Patricia de Monasterio-Schrader, Ursula Funfschilling, Takahiko Kawasaki, Hidenobu Mizuno, Takuji Iwasato, Klaus-Armin Nave, Hauke B. Werner, Tatsumi Hirata
Transcallosal Projections Require Glycoprotein M6-Dependent Neurite Growth and Guidance.
Cerebral cortex, 25, 4111-4125, 2015
Hidenobu Mizuno, Wenshu Luo, Etsuko Tarusawa, Yoshikazu M. Saito, Takuya Sato, Yumiko Yoshimura, Shigeyoshi Itohara, Takuji Iwasato
NMDAR-Regulated Dynamics of Layer 4 Neuronal Dendrites during Thalamocortical Reorganization in Neonates.
Neuron, 82, 365-379, 2014
Hidenobu Mizuno, Tomoo Hirano, Yoshiaki Tagawa
Pre- and postsynaptic neuron activity supports the axon development of callosal projection neurons during different postnatal periods in the cerebral cortex
The European journal of neuroscience, 31, 410-424, 2010
Natsumi Ageta-Ishihara, Sayaka Takemoto-Kimura, Mio Nonaka, Aki Adachi-Morishima, Kanzo Suzuki, Satoshi Kamijo, Hajime Fujii, Tatsuo Mano, Frank Blaeser, Talal Chatila, Hidenobu Mizuno, Tomoo Hirano, Yoshiaki Tagawa, Hiroyuki Okuno, and Haruhiko Bito
Control of cortical axon elongation by a GABA-driven Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase cascade
The Journal of Neuroscience, 29, 13720-13729, 2009
Yoshiaki Tagawa, Hidenobu Mizuno, Tomoo Hirano
Activity-dependent development of interhemisheric connections in the visual cortex
Reviews in the Neurosciences, 19, 19-28, 2008
Hidenobu Mizuno, Tomoo Hirano, Yoshiaki Tagawa
Evidence for activity-dependent cortical wiring: Formation of interhemispheric connections in neonatal mouse visual cortex requires projection neuron activity
The Journal of Neuroscience, 27, 6760-6770, 2007
Fumikazu Suto, Miu Tsuboi, Haruyuki Kamiya, Hidenobu Mizuno, Yuji Kiyama, Shoji Komai, Masayuki Shimizu, Makoto Sanbo, Takeshi Yagi, Yasushi Hiromi, Alain Chedotal, Kevin J. Mitchell, Toshiya Manabe, and Hajime Fujisawa
Interactions between Plexin-A2, Plexin-A4, and Semaphorin 6A Control Lamina-Restricted Projection of Hippocampal Mossy Fibers
Neuron, 53, 535-547, 2007
(日本語総説等)
岩里琢冶、水野秀信
脳神経系の再生医学-発生と再生の融合的新展開-
(細胞と回路の形成制御 神経回路の形成機構-哺乳類大脳皮質神経回路の生後発達)
井村裕夫、高橋淳 監:河崎洋志 編、診断と治療社、2015
水野秀信、岩里琢冶
新生仔の大脳皮質第4層における神経回路の再編の2光子顕微鏡によるイメージング
ライフサイエンス 新着論文レビュー、2014
(研究費)
1, 大脳皮質神経回路形成メカニズムの新生仔生体イメージングによる解析
公益財団法人 武田科学振興財団: 2015年度 医学系研究奨励
代表者: 水野秀信
2, 生体新生仔における大脳皮質神経細胞の活動観察法の開発
文部科学省: 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
研究期間: 2015年 – 2016年 代表者: 水野秀信
3, 幼仔期大脳皮質発達メカニズムのin vivo二光子イメージングによる解析
文部科学省: 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
研究期間: 2013年 – 2014年 代表者: 水野秀信
4, 新生仔マウス体性感覚野におけるバレル細胞樹状突起の精緻化過程とNMDARの役割
文部科学省: 新学術領域研究『包括型脳科学研究推進支援ネットワーク』(若手優秀発表賞奨励金: 2012年
5, マウス遺伝学と電気穿孔法の融合による大脳皮質バレル野形成機構の解明
文部科学省: 科学研究費補助金(若手研究(B))
研究期間: 2010年 – 2011年 代表者: 水野秀信
6, 若手研究者海外派遣プログラム(Society for Neuroscience annual meeting 参加)
文部科学省:新学術領域研究『神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学』: 2009年
7, 大脳皮質間の軸索投射におけるシナプス前・後細胞の神経活動の役割
日本学術振興会: 特別研究員奨励費
研究期間: 2008年 – 2009年 代表者: 水野秀信